人に懐きやすく手軽に飼えることも魅力で人気の観賞魚の「ベタ」。ハーフムーンやダブルテール・プラカットなど品種も多く、それぞれが美しい魅力をもつベタですが、実際に飼育するには気をつけるポイントがたくさんあります。特に観賞魚は水の中で生きる生き物なので、水質管理は大事になっていきます。この記事ではベタの種類や値段、飼育に必要なものや気を付けるポイントについてまとめました。
ベタの生態について
ベタは、タイが原産の淡水の熱帯魚です。メコン川流域から大きな川、水田、沼などに生息し、動物性プランクトンなどを食べています。野生のベタは地味な色で、ヒレが短い熱帯魚です。そこから品種改良によって、様々な色やヒレの種類が作られました。
気性の荒い性格のベタは、原産国タイでは「闘魚」として昔から飼育されていましたが、日本を含む他の国では、ベタを見た目の美しさから観賞魚として人気があり、品種改良によって様々な色の「ショーベタ」が存在しています。ショーベタとは、ショー(コンテスト)に出すくらい美しいベタのことを言います。
ベタの体の特徴
ベタの体長はおよそ5〜8cm(成魚の場合)、メスはやや小ぶりで地味な色合い、オスは少し大きく体色は派手でヒレが長い傾向があります。
構造が迷路に似ていることから「ラビリンス器官」とも呼ばれる空気呼吸をする器官を持ち、口を空気中に出して空気を口の中にいれ、そこから直接酸素を得ることができる体の特徴があります。個体や飼育環境によっても違いが出ますが、平均寿命は2〜3年、長生きする個体で5年くらいです。
性格と特徴
ベタは原産国タイでは、闘魚として飼育されたほど気性が荒く、攻撃的です。ただ、毎日飼育しているとベタは、とても人に懐いてくれる特徴があります。エサをあげる時に、寄ってきてくれる魚はたくさんいますが、ベタは水槽の中からじっと見つめてくれ、手を入れても寄ってきてくれるほどです。見た目の美しさ、体の丈夫さ、人懐っこさから言っても、ペットとして人気を集めており、熱帯魚を飼育したことのない初心者にもおすすめです。
行動
ベタの特徴のひとつとして、「フレアリング」があります。フレアリングとは、縄張り意識が強いベタの威嚇行動、求愛行動です。別の個体が縄張りに入ってきた時、尾ビレや背ビレ、エラを目一杯広げて威嚇します。これをフレアリングといい、とても美しい瞬間です。
またフレアリングをすることで、ベタにとってはストレス発散にもなります。ベタは、基本的に1匹での飼育となりますが、ストレスも溜まるので、運動がてら1日に1〜2回くらいフレアリングさせるようにしましょう。(フレアリングトレーニングと言います。)ヒレの開きが良くなり、より美しいベタに成長させる効果もあります。
別の水槽で複数のベタを飼育している場合は、水槽を隣り合わせにおいてあげることでフレアリングしてくれます。(普段は、間仕切りをして見えないようにしてあげましょう。)また単体飼育の場合は、鑑を見せてることで敵だと思わせ、フレアリングトレーニングが出来ます。
ベタの種類について
ベタは観賞魚として人気で、世界中に多くの種類が存在し、品種改良によって様々なカラーが増えてきています。基本的には、品種改良されたベタと、野生のベタに分けられます。
【品種改良されたベタ】
品種改良されたベタは、「トラディショナルベタ」と、「ショーベタ」に分けられます。
- トラディショナルベタ
- ショーベタ
「ショーベタ」とは、(コンテスト)に出品できるほど美しく質の高いベタのことで、この中でも色々な種類が存在します。
ショーベタの種類がこちら↓↓
- ハーフムーン
- スーパーデルタ
- ダブルテール
- クラウンテール
- プラカット
- ジャイアント
【野性品種】
ワイルドベタ
などベタは種類が多いのも魅力ですね。それでは細かく見ていきましょう。
トラディショナルベタ
「トラベタ」「並ベタ」と呼ばれることもあります。また長い尾ビレが美しく、花嫁のかぶるベールに似ているため”ベールテール”とも呼ばれる美しい品種です。ベタの中で最も流通量が多く、熱帯魚ショップなどでもよく見かける最も一般的な種類です。安く購入することが出来て、比較的丈夫な個体が多く、飼いやすいのが特徴で、初心者向きと言われています。
ハーフムーン
ハーフムーンはフレアリング(威嚇・求愛行動)した際に、ヒレが180度開くベタを呼びます。フレアリングした姿が華麗で、ショーベタの中ではかなり価値が高い品種です。きれいな尾ビレを維持するために、フレアリングのトレーニングや水温、水質の管理が必要です。ヒレが裂けやすく、水槽の中で引っかからないようにレイアウトや素材に注意しなければならないため、初心者には少し飼育が難しい品種です。
スーパーデルタ
基本的にはハーフムーンと一緒ですが、厳密に区別するとスーパーデルタは、尾ビレが120度以上、180度未満に開く個体です。ハーフムーンに似ている美しさがありますが、比較的安く購入できます。スーパーデルタが、日々のフレアリング・トレーニングによってハーフムーンになった例もあるそうです。
ダブルテール
尾ビレが上下に分かれていて、大きな背ビレが特徴です。尾ビレがやや小さく、ヒレが裂ける心配が少ない品種です。また鮮やかで美しい体色で、丈夫な個体が多いため、初心者にも向いています。
ただし、小柄で胴体が短い特徴のダブルテールは、オスが交配に失敗しやすいため、繁殖させることが難しい品種と言われています。
クラウンテール
ギザギザしたヒレを開いた様子が、王冠(crown)のように見えることから、この名前が付けられました。クラウンテールは、ヒレが糸状に長く垂れた個体や、切れ込みが深い個体が良い個体とされています。比較的安く購入することが出来て、特に海外での人気、評価が高いベタです。一般的なペットショップではあまり見られないため、熱帯魚専門店などで探すのがおすすめです。
プラカット(プラガット)
ショートテールベタとも呼ばれ、品種改良されたベタの中で最も原種に近い形をしていて、全体的に短いヒレが特徴です。闘争用に改良された種類のため、非常に気が強く攻撃的な個体が多いです。他と種類と比べても体高があり、体つきもシッカリとしていて丈夫なため、生命力もあります。ジャンプ力があるので、水面から飛び出してしまわないように、ふたが付いている水槽が必要です。
ジャイアント
プラカットが突然変異し大型化した品種で、体長8cm〜10cmほどもあり、成長すると10cmを軽く超える個体も存在します。体が大きくなるため、大きめの水槽を用意し飼育しましょう。
【野性品種】ワイルドベタ
原種と原種に近い品種をワイルドベタと呼びます。熱帯魚は、野生で採取したものをワイルドと呼ぶことが多く、ワイルドベタは、見つかっているだけでも50種類以上いると言われます。
体色は地味ででヒレも短いものが多く、品種改良されたものに比べると豪華さはありませんが、人気があり高価なものが多いのが特徴です。野生種のため飼育が難しく、初心者には向いていません。
ベタは、上記の他にも品種改良によって白や黒、ブルーにピンク、イエロー、レッドなど様々なカラーバリエーションと柄が存在します。
ベタの値段について
ベタの世界では有名なブリーダーが育てたベタは、付加価値が付いて、高額になることが多いようです。日本では主にホームセンター、アクアショップや熱帯魚専門店で販売され、優雅で美しい姿が人気です。
また、野生種の場合は希少価値だけでなく、輸入の際にかかる手数料などがプラスされ高額になります。体色や柄、ヒレの美しさ、また時期などでも違いがありますが、ここでは一般的に購入する時の値段の違いを、種類別にまずは表で見てみましょう。
トラディショナルベタ | 500〜3,000円 |
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ハーフムーン | 3,000〜20,000円程度 |
スーパーデルタ | 1,500〜3,000円程度 |
ダブルテール | 3,000円程度 |
クラウンテール | 1,000〜3,000円程度 |
ジャイアント | 7,000〜18,000円程度 |
【野性品種】ワイルドベタ | 5,000〜30,000円程度 |
それでは値段の違いを細かく見ていきます。
トラディショナルベタ
値段 | 500〜3,000円 |
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長い尾ビレが美しく、花嫁のかぶるベールに似ているため”ベールテール”とも呼ばれる美しい品種です。また値段が安い個体が多く、”並ベタ”などと呼ばれることもあります。
ベタを扱うショップでは、よく販売されており、ホームセンター、熱帯魚ショップなどで購入可能です。比較的丈夫な個体が多く、飼いやすいのが特徴で、初心者向きと言われています。
ハーフムーン
値段 | 3,000〜20,000円程度 |
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ハーフムーンはフレアリング(威嚇・求愛行動)した際に、ヒレが180度開くベタを呼びます。フレアリングした姿が華麗で、ショーベタの中ではかなり価値が高い品種です。きれいな尾ビレを維持するために、フレアリングのトレーニングや水温、水質の管理が必要です。
ヒレが裂けやすいため、水槽の中で引っかからないようにレイアウトや素材に注意しなければならないため、初心者には少し飼育が難しい品種です。
スーパーデルタ
値段 | 1,500〜3,000円程度 |
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基本的にはハーフムーンと一緒ですが、厳密に区別するとスーパーデルタは、尾ビレが120度以上、180度未満に開く個体です。ハーフムーンに似ている美しさがありますが、比較的安く購入できます。スーパーデルタが、日々のフレアリング・トレーニングによってハーフムーンになった例もあるそうです。
ダブルテール
値段 | 3,000円程度 |
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尾ビレが上下に分かれていて、大きな背ビレが特徴です。尾ビレがやや小さく、ヒレが裂ける心配が少ない品種です。また鮮やかで美しい体色で、丈夫な個体が多いため、初心者にも向いています。
ただし、小柄で胴体が短い特徴のダブルテールは、オスが交配に失敗しやすいため、繁殖させることが難しい品種と言われています。
クラウンテール
値段 | 1,000〜3,000円程度 |
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ギザギザしたヒレを開いた様子が、王冠(crown)のように見えることから、この名前が付けられました。クラウンテールは、ヒレが糸状に長く垂れた個体や、切れ込みが深い個体が良い個体とされています。比較的安く購入することが出来て、特に海外での人気、評価が高いベタです。一般的なペットショップではあまり見られないため、熱帯魚専門店などで探すのがおすすめです。
プラカット(プラガット)
値段 | 2,000〜8,000円程度 |
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ショートテールベタとも呼ばれ、品種改良されたベタの中で最も原種に近い形をしていて、全体的に短いヒレが特徴です。闘争用に改良された種類のため、非常に気が強く攻撃的な個体が多いです。他と種類と比べても体高があり、体つきもシッカリとしていて丈夫なため、生命力もあります。ジャンプ力があるので、水面から飛び出してしまわないように、ふたが付いている水槽が必要です。
ジャイアント
値段 | 7,000〜18,000円程度 |
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プラカットが突然変異し大型化した品種で、体長8cm〜10cmほどもあり、生長すると10cmを軽く超える個体も存在します。体が大きくなるため、大きめの水槽を用意し飼育しましょう。
【野性品種】ワイルドベタ
値段 | 5,000〜30,000円程度 |
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原種と原種に近い品種をワイルドベタと呼びます。熱帯魚は、野生で採取したものをワイルドと呼ぶことが多く、ワイルドベタは、見つかっているだけでも50種類以上いると言われます。
体色は地味ででヒレも短いものが多く、品種改良されたものに比べると豪華さはありませんが、人気があり高価なものが多いのが特徴です。野生種のため飼育が難しく、初心者には向いていません。
ベタの飼育に必要もの
飼育に必要なものは主に5点です。
- 水槽(飼育容器)
- ライト
- ヒーター&水温計
- エサ
- 水質調整剤
それでは飼育に必要なものを、細かく見ていきます。
水槽(飼育容器)
ベタはコップでも飼えるといいますが、小さな容器で飼育すると、水質の悪化が早く、毎日の水換えが必要になってきます。水質の悪化は、体調不良や寿命を縮めてしまう原因となるので、コップなど小さな容器での飼育はおすすめできません。
基本的にはベタには30cm水槽か、大きくても45cm水槽を用意してあげましょう。美しいヒレに育てるには、水深が13㎝ぐらいあったほうがいいようです。
ハーフムーンやクラウンテールのオスはジャンプ力が弱くあまり飛び出しませんが、メスやプラカットはよく飛び出します。必ず、きちんとフタをした水槽で飼育してあげましょう。
【フレアリングについて】
ベタは、フレアリングと呼ばれる威嚇、求愛行動をとります。またフレアリングをすることで、ベタはストレス発散にもなるので、運動がてら1日に1~2回くらいフレアリングさせるようにしましょう。(フレアリングトレーニングと言います。)ヒレの開きが良くなり、より美しいベタに成長させる効果もあります。
複数匹のベタを隣り合わせの水槽で飼育する場合、普段は相手が見えないように、隣の水槽との間に厚紙か不透明の仕切りをはさんであげましょう。仕切りをはずすことで、フレアリングをしてくれます。
ライト
ベタにとってライトは必ず必要なものではないですが、ライトを使用することで、観賞用のベタの美しさがより際立ちます。また水草を入れている場合は、ライトを入れなければ光合成できず枯れてしまうので、ライトの設置が必要になってきます。
ヒーター&水温計
ベタに限らず、熱帯魚の飼育には水槽用ヒーターが必要です。ヒーターは、25℃~28℃になるように、温度調整可能なものを使いましょう。また毎日、水温計を見て温度チェックをする習慣を付けましょう。
エサ
人工餌(ベタ専用エサ)が簡単で、色々種類もありますが、種類によっては食べないのもあるのでいくつか用意してあげると安心です。また、ベタは生きエサが大好きなので、手に入るなら赤虫、糸ミミズ、ボーフラ、ミジンコなどを与えると喜びます。基本は、バランスよく与えるのが理想的です。
水質調整剤
水質調整剤を使用し、水道水に含まれる「塩素(カルキ)」を取り除き、ベタの飼育に適した水にします。一般的に、どんな魚でも飼育する前に水にカルキ抜きが必要です。
使用方法は、水道水を入れたバケツに水質調整剤を規定量を入れ、よくかき混ぜて使用します。特にベタ用というものはなく、熱帯魚用や金魚用として販売されているものでOKです。
水槽に水を入れる2日くらい前に、水をバケツに入れておくことで水質調整剤を使用しなくとも、カルキ抜きが出来ます。これはベタに限らず、どんな魚にも有効な方法ですが、時間がない時などは、水質調整剤を使用するのが簡単です。
ベタを飼う時の注意点
ベタに限らず生き物を飼う時には必ず気を付けないといけない注意点があります。注意するポイントは以下になります。
- 水流、水位に気をつける
- エサについて
- 温度管理
- ベタの老化と飼育
それでは注意するポイントを細かく見ていきます。
水流、水位に気をつける
ベタは水流のほとんど無い「止水」の状態での飼育が必要です。野生のベタの生息地は沼地で、水流はほとんどなく、飼育する際にも水流は必要ありません。水質保持のためにろ過フィルターを設置する場合は、水がポタポタ落ちるくらいの状態がよいでしょう。強い水流はベタには全く適さず、速く泳ぎすぎて体力を消耗させる原因になってしまいます。
またジャンプ力のあるベタの飼育には、飛び出しに注意が必要です。ハーフムーンやクラウンテールのオスはジャンプ力が弱くあまり飛び出しませんが、メスやプラカットはよく飛び出します。水槽ぎりぎりまで水位を上げることはせず、必ず、きちんとフタをした水槽で飼育してあげましょう。
エサについて
基本的にベタは、水槽の上層を泳ぐ魚で、中層〜下層にはあまり移動しません。そのため沈むのが早いエサを与えると、浮いている間に食べきることができず、大量のエサが水槽の底に沈んでしまい、水質悪化にも繋がります。
エサの量ですが、もともとベタは腸が弱く便秘になりやすい魚なので、大量のエサを与えるのはやめましょう。
ベタの飼育は水流を出さないために、ろ過フィルターを設置してない場合も多いため、特に水質悪化に気をつけましょう。
温度管理
ベタに限らず、熱帯魚の飼育には水槽用ヒーターが必要です。ヒーターは、25℃〜28℃になるように、温度調整可能なものを使いましょう。毎日水温計を見て、温度チェックをする習慣を付けます。特に、冬は水温も下がるので、毎日水温計をチェックしてあげることが大切です。水温チェックは、ベタの体調管理にも繋がります。
ベタの老化と飼育
ベタの一番の魅力は華やかな色合いと、美しさです。ただ人間と同様、歳をとるのと比例して劣化していきます。だいたいお店で購入して1年から1年半くらいで老化すると考えた方がよいでしょう。ショーベタ(ショーベタとは、ショー(コンテスト)に出品できるほど美しく質の高いベタのこと)は、若い時の美しさが際立つため、老化現象がよく目立ちます。
観賞魚として飼育を続け、老化により鮮やかな色がくすんでしまっても、寿命まで大切に飼育してあげることが大切です。
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