難燃性のオイルを電熱器で暖めて循環させてラジエーターフィン(放熱板)から放熱し、対流や輻射熱によって部屋を暖める暖房器具オイルヒーター。
エアコンなどと違って送風しないで部屋の中を暖めてくれるため、温風に当たった時の不快な感じがなく、じんわりぽかぽかと体を暖められます。
その特徴のせいか実はデメリットが多くある暖房器具…
今回はどうしてオイルヒーターにデメリットが多いのかについて解説していきます。
オイルヒーターのデメリット
まずはオイルヒーターのデメリットについて解説していきます。
主な原因はこちらになります。
- 暖房効率が悪い
- 電気代が高い
- 木造建築に不向き
- 本体が大きい
暖房効率が悪い
オイルヒーターの一番の弱点は、すぐに暖まらない事です。
エアコンや灯油ストーブなどの室内に温風を送る暖房器具と違い、オイルヒーターは放熱によって室内を暖めているため、暖かいと感じるまでに時間がかかります。
部屋の広さによっても違いますが、暖かいと感じるまでに30分~1時間近くかかることも。
冬に朝起きた時や、寒い日に外から帰ってきた時、すぐ暖まりたい場合、オイルヒーターは不向きな暖房器具です。
電気代が高い
オイルヒーターは暖房器具の中で、電気代が高いと言われています。
では、実際に他の暖房器具と比較してどのくらい高いのでしょうか。一般的に使われている暖房器具「エアコン」と「こたつ」と比較してみました
エアコン | こたつ | オイルヒーター | |
---|---|---|---|
消費電力 | 105W~1480W | 弱:約80W 強:約160W | 500W~1200W |
電気代(1時間あたり) | 約2.8円~40円 | 約2.2円~4.3円 | 約13.5円~32.4円 |
部屋の広さや設定温度によっても電気代は変わってきますが、オイルヒーターは、消費電力が高く(1500Wのオイルヒーターもある)、他の暖房器具に比べ電気代が高くなってしまいます。
また、すぐに暖まらないという特性上、「強設定」&「つけっぱなし」で使用する事が多くなり、結果的に他の暖房器具よりもトータルの電気代は高くなります。
木造建築に不向き
マンションなどの鉄筋コンクリート構造の住宅に比べ、木造建築は「気密性」が低いためオイルヒーターは不向きと言われています。
オイルヒーターはもともと、気密性の高いヨーロッパの住環境で使われていた暖房器具です。
日本でよく見られる木造建築は木と木を組み合わせて作るという構造上、隙間が多くあります。
ゆっくり暖まるオイルヒーターでは暖房効率が悪く、木造建築では隙間風があるので、より暖まりづらいと言えるでしょう。
本体が大きい
オイルヒーターは、サイズが大きいものが一般的です。
エアコンなどと違い夏には使用しないので、寒い季節が過ぎて片付ける場所を考えると、大きすぎる暖房器具は購入を躊躇してしまいます。
オイルヒーターは気密性の高いマンションの部屋におすすめの暖房器具ですが、マンションなどではしまう場所が限られてしまうため、片付ける場所とオイルヒーターのサイズをよくチェックして購入するのがよいでしょう。
オイルヒーターのメリット
デメリットばかりを上げてきましたが、オイルヒーターにはもちろん「メリット」もあります。
主なメリットがこちらになります。
- 安全
- 静音
- 優しい暖かさ
- 空気がきれい
- 乾燥しづらい
- 掃除しやすく、メンテナンス不要
安全
オイルヒーターは、石油ストーブや石油ファンヒーターのように燃料を燃焼させていないため炎が出ず、火災や一酸化炭素中毒の心配は少ないです。
またこのオイルヒーターは、表面温度が60℃~80℃程と石油ストーブや石油ファンヒーターに比べ火傷しづらい温度になっています。
この温度なら少し触れてしまったくらいなら、大きなやけどの心配はいりません。
ただ、皮膚の薄い赤ちゃんなら数秒触っていたら、低温やけどの可能性もあるので、過信しすぎず使用するのがよいでしょう。
静音
暖房器具を使用する時、「ファンが稼働する運転音」「点火時の音」など意外と音が大きく、気になる事があります。
オイルヒーターは温風を出さず放熱して部屋を暖めるという特性上、この音がほとんどなく、静音のまま暖房器具として使用できます。
そのためオイルヒーターは、小さな赤ちゃんがいる家庭や、就寝時暖房の音が気になる方に特におすすめの暖房器具です。
優しい暖かさ
オイルヒーターは、「輻射熱」によって暖まる仕組みです。
輻射熱とは、遠赤外線の熱線によって直接伝わる熱のことですが、簡単に言うと電磁波が部屋の壁や家具など全体を暖める事で、人の体が暖まるという仕組みです。
太陽は、この輻射熱で地球を暖めてくれているので、輻射熱を使って暖まるオイルヒーターも、日向ぼっこしたような暖かさを感じる事ができます。
またこの輻射熱は、温風と違い体の表面を暖めるのではなく、体の芯からじっくりと温めてくれるので、より優しい暖かさを感じる事ができます。
空気がきれい
オイルヒーターは、本体の放熱によって部屋を暖める構造になっています。
ファンヒーターなどと違って燃料を燃焼させていないため、空気が汚れません。
また、送風していないので部屋のほこりや花粉などを巻き上げる事がなく、部屋の空気がきれいなまま暖まるのが良い点です。
乾燥しづらい
オイルヒーターのメリットで注目されているのが、この「乾燥しづらい」点です。
ファンヒーターなどは温風によって部屋を暖めるため、部屋が乾燥してしまいますが、オイルヒーターは風が出ないので乾燥の心配はありません。
部屋が暖まっても乾燥が気になれば、暖房機に加え加湿器の設置も考えなければならなくなってしまいます。
肌の乾燥や喉の不調など健康面が気になる人は、「オイルヒーター」をチェックする事をおすすめします。
掃除しやすく、メンテナンス不要
エアコンは、内部にカビが発生しやすく、ほこりも溜まるので、定期的な掃除を必要とします。
その反面オイルヒーターは、掃除は本体の汚れやほこりを軽く拭く程度でOKです。
またオイルヒーター内部で使われている難燃性オイルは、交換や補充の必要はなく、メンテナンス不要な点も扱いやすい暖房器具と言えるでしょう。
オイルヒーターを効率よく使う方法
オイルヒーターのメリットとデメリットについて解説してきましたが、そのデメリット部分をカバーしながら効率よくオイルヒーターを使う方法を紹介していきます。
なるべく暖かさを逃がさない
「暖房効率が悪い」オイルヒーターは、気密性の高い空間で使用する事で暖かさを逃がさないようにするのがよいでしょう。
寝室などで使用する場合はドアの開け閉めは素早くし、リビングなどでは短時間で暖まるエアコンなどと併用する事で効率よくオイルヒーターが使えます。
特に寒さが気になる場合は、オイルヒーターを冷気の侵入口に設置したり、断熱カーテンを使用したりすれば、暖房効率が高まります。
電気代を安く
「電気代が高い」デメリット部分をカバーするために、オイルヒーター使用時は、設定温度を他の暖房器具よりも低く設定する事をおすすめします。
オイルヒーターは体の芯から温まるので、ある程度部屋が暖まれば、設定温度を低くしても体感的には寒さをあまり感じづらいでしょう。
またオイルヒーターは年々進化していて、エコ運転、タイマー運転、自動運転など様々な機能が付いたものが発売されています。
購入時、運転機能もチェックするのがよいでしょう。
オイルヒーター以外の暖房器具
オイルヒーターを効率よく使ってもやっぱりオイルヒーターは自分には合ってない…
そのような場合にはやっぱり他の暖房器具を頼ることになりますよね。
ここではオイルヒーター以外の暖房器具について紹介していきます。
エアコン
エアコンは、寒い冬だけでなく暑い夏にも使用できる冷房機能も備わっているところが他の暖房器具と違うところ。
オイルヒーターと併用して使用すると、暖房効率も高くなります。
また設置場所は壁面なので、小さな赤ちゃんがいても火傷の心配もなく、場所を取らないのもポイントです。
石油ファンヒーター
石油ファンヒーターは、スイッチひとつで簡単に暖房できる定番の暖房器具ですが、素早く部屋の中を暖められるところがポイントです。
燃焼が始まるとすぐに熱風が吹き出し、効率よく部屋を暖めてくれます。
定期的な灯油の補充が必要ですが、灯油は比較的安価に購入可能なため、ランニングコストも心配いらないでしょう。
石油ストーブ
石油ストーブは、石油ファンヒーターと違って温風が出ないので温風が直接体に当たるのが苦手な人は、じっくり温まる石油ストーブがおすすめです。
また石油ストーブは電源が必要ないので、停電時や災害時に使えるのも大きなポイントです。
セラミックファンヒーター
セラミックファンヒーターは、電気で発熱させた熱をファンで循環させて、部屋を暖める暖房器具です。
電気を使って温風を送れる暖房器具なので、手軽で使いやすいのがポイント。
セラミックファンヒーターは、加湿機能が備わったものからデザイン性の高いものまで、色々なメーカーから多くのモデルが販売されています。
暖房器具としてだけではなく、インテリアの一部としておしゃれなセラミックファンヒーターを選ぶのもおすすめです。
電気ストーブ
電気ストーブは、コンセントを差すだけですぐ暖まる手軽な暖房器具です。
手足などをピンポイントで、すぐ暖めたい場合に向いています。
また値段も安価な物が多く、家電量販店やホームセンターなどでも購入できるので、一人暮らしの人にもおすすめです。
こたつ
ほっと一息したい場合にゆっくり暖まるなら、断然こたつをおすすめします。
電気代も1時間あたり約2.2円~4.3円と、オイルヒーターよりも安いです。
昔ながらの暖房器具ですが、最近ではおしゃれな掛け布団、敷き布団のセットも売っており、若い人にもチェックしてほしい暖房器具です。
まとめ
今回はオイルヒーターのデメリット・メリットについて解説してきました。
簡単にこの記事の内容をまとめるとこんな感じです↓
オイルヒーターのデメリット
- 暖房効率が悪い
- 電気代が高い
- 木造建築に不向き
- 本体が大きい
オイルヒーターのメリット
- 安全
- 静音
- 優しい暖かさ
- 空気がきれい
- 乾燥しづらい
- 掃除しやすく、メンテナンス不要
効率よくオイルヒーターを使う方法
- なるべく暖かさを逃がさない
- 電気代を安く
暖房器具の購入を迷っている時や、オイルヒーターのメリット、デメリットを知りたい時などに参考にしてみて下さい。